埼玉医科大学総合医療センター
消化管外科・一般外科

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胃がんについて

当科の胃がん診療の特徴

内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)が可能な早期胃がんであれば、消化器内科と連携して治療を行います。胃切除術では 70%以上の胃がんに低侵襲である腹腔鏡手術やロボット支援下手術を行っています。

胃切除術後の機能温存をすべく、迷走神経温存幽門側胃切除術や逆流性食道炎予防を企図した腹腔鏡下噴門側胃切除術を積極的に導入しています。

根治切除不能進行胃がん(stage IV)や再発胃がんに対する化学療法を積極的に行っています。化学療法がよく効いて、根治切除が可能になった場合は胃切除を行い(conversion surgery)、生存期間の延長が認められています。

消化器外科専門医が病状に応じて、内視鏡治療、手術 (腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術)、抗がん剤治療を行っており、治療効果が高く、かつ身体への負担が少ない最適の治療法を提供しています。胃がんと診断されても、また、他の医療機関で治療法がないと診断されても安心して当科を受診してください。

胃がんの手術治療は上腹部を中心におなかを大きく切開する開腹手術が主に行われてきましたが、1990 年頃より炭酸ガスでおなかをふくらませて、小さな創で手術を行う腹腔鏡手術が広まりました。1998 年より腹腔鏡下手術を開始し、2020 年からは 3D 手術(それまでは 2D 手術)そして最先端の腹腔鏡下手術であるロボット支援下手術も導入しました。現在では、70%以上の胃がんに対し低侵襲手術を行っております。このような低侵襲である腹腔鏡下手術は、ビデオカメラによる拡大視効果(肉眼では明確に見えなかったリンパ管や神経、細径血管が見えるようになります)やロボットによるぶれない正確な操作が可能であり、以前の手術より緻密な正確な手術ができるようになっています。

ビデオカメラによる拡大視効果
ビデオカメラによる拡大視効果
腹腔鏡手術後の腹部創
腹腔鏡手術後の腹部創
ロボット手術2本のアーム
ロボット手術2本のアーム
ロボット手術 手術室
ロボット手術 手術室
ロボット手術 手術
執刀医はこのコンソールに座り両手両足で4本のロボットアームを操作します。

胃がん治療において最も侵襲の少ない治療法です。内視鏡下に胃の病変を切除します。全ての胃がんを治療できるわけではなく、適応が決まっています。適応の原則は一括切除できることであり、分化型の粘膜内がん、2cm 以下の未分化型の粘膜内がんが適応になります。検診で見つかるような症状のない早期胃がんが、適応になることが多いようです(粘膜内がん:浅いがん)。

内視鏡治療の画像1
内視鏡治療の画像2
内視鏡治療の画像3

胃がんの根治治療は切除ですが、胃切除(臓器切除)により様々な機能障害が起こりえます。消化吸収機能低下、ダンピング症候群、貧血、逆流性食道炎、胆石症などがありますが、胃切除に伴う消化管運動機能の消失で発生します。こうい った機能障害を少なくする目的で機能温存手術が行われます。胃の噴門機能が切除されると逆流性食道炎が発生しますが、逆流防止のため、防止弁や収縮機能、そして胃底部機能を温存または作成します。

噴門側胃切除後の逆流防止弁
噴門側胃切除後の逆流防止弁
作成した胃底部
作成した胃底部

根治切除不能進行再発胃がんに対し、可能な限り化学療法を導入します(合併症により導入できない場合もあります)。化学療法の効果が十分に認められ、根治切除が可能と判断されれば、患者さんと相談の上、胃がんの根治を目的に胃切除を行います。場合によっては肝切除や膵頭十二指腸切除などを行い、生存期間の延長を図っております。以前では根治できなかった患者さんでも、長期生存が得られるようになってきています。

化学療法前胃内視鏡
化学療法前胃内視鏡
化学療法後胃内視鏡
化学療法後胃内視鏡
切除胃_縮小した病変
切除胃_縮小した病変
術前化学療法
高度進行胃がんでは、術前に経口抗がん剤である TS-1 と点滴抗がん剤であるオキサリプラチンの 2 剤での SOX 療法を 2-4 コース行い、腫瘍、転移を縮小させたうえで手術を行っております。
術後補助化学療法
ステージ IIA、IIB の胃がんに関しては、経口抗がん剤である TS-1 を 1 年間 内服。ステージIIIA、 IIIB、 IIIC に関しては、経口抗がん剤である TS-1 と点滴抗がん剤であるオキサリプラチンの 2 剤での SOX 療法を半年間あるいは経口抗がん剤であるTS-1 を 1 年間内服します。
根治切除不能進行再発胃がんに対する化学療法
一次化学療法として、SOX+オプジーボあるいは SOX+ハーセプチンでの治療を中心に行っています。二次化学療法はパクリタキセル (アブラキサン)+サイラムザまたは、MSI-high であればキイトルーダでの治療を、三次化学療法として、エンハーツ、オプジーボ、イリノテカン、ロンサーフなどで化学療法を行い生存期間の延長を図っております。このうち、化学療法の効果が十分あった10%程度の患者さんにconversion 手術を行い 5 年生存率が約 50%まで改善しています。
化学療法前_胃内視鏡
化学療法前_胃内視鏡
化学療法後_胃内視鏡
化学療法後_胃内視鏡
治療前_肝転移鏡
治療前_肝転移
化学療法後_肝転移縮小
化学療法後_肝転移縮小

胃がんステージ説明

がんの病期は、がんの広がり(T)、リンパ節への転移の状態(N)、他の臓器への転移(M)の 3 項目をもとに、大きくⅠ~Ⅳ期に分類されます。T は胃がんの胃壁方向への深達度、N は胃周囲のリンパ節転移の個数によって判定されます。 Mは、他の臓器や遠隔リンパ節への転移の有無で判定されます。下の表を用いてステージは決められます。

臨床進行度分類
遠隔転移なし 遠隔転移あり
深達度 リンパ節転移なし リンパ節転移あり
T1、T2 I IIA IVB
T3、T4a IIB III
T4b IVA

T1:粘膜、粘膜下層浸潤、T2:平滑筋層、T3:漿膜下層、T4a:漿膜、T4b:他臓器浸潤

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